優良企業にはカリスマが存在しない


本を通してリーダーシップを研究

 

私が参考にしている有名なメールマガジンの一つに、『土井英司のビジネスブックマラソン』があります。
著者の土井さんが1日に3冊ほど本を読んで、お勧めの本を紹介してくれるのです。それを見て、「これは面白そうだ」と思ったら、すぐに購入します。そのようにしていると本がどんどん溜まって、読む速度が追いつかないのです。それで、真剣に悩んでいました。
ちょうどその頃、私がとても影響を受けた一人である神田昌典という実践マーケターが、『Amazon』(注:世界的なインターネットストア)で、数人の経営コンサルタントたちと、「これまで一番、影響を受けた本」についての対談を行ったことがありました。
その中で、神田さんが「フォトリーディング」に関する本を勧めていたのです。これは速読法の一つで、「どんな本でも30分で読めてしまう」という方法です。それが本当に可能なら、本を購入する速度より読む速度のほうが一気に速くなるわけです。
それで、試しに『あなたも今までの10倍速く本が読める』(ポール・R・シーリィ/フォレスト出版)という本を買ってやってみたのですが、うまくいきませんでした。ところが、私のとっておきの本で実践してみたら、30分では無理でしたが、1時間半で読むことができたのです。
その本は、『こうしてリーダーはつくられる』(ダイヤモンド社)という本で、著者のウォレン・ベニスは、リーダーシップ論の世界的権威です。


この本は、数々の統計からリーダーたちが育っていく過程を書いていて、とても面白いのです。たとえば米国の戦前生まれのリーダーと戦後生まれのリーダー、また30代と60代のリーダーを数十人ずつ調査してみると、それぞれ、タイプはまったく違うのに、ちゃんと共通部分があるのです。その共通点が何かということを書いたのが、この本です。
とても学術的な本なので、こと細かに読むと、ふつうは1週間ぐらいかかります。それが1時間半で読めたので、感動してひたすら本を読みまくり、1日に3冊読めるようになりました。集中力が必要な読み方なので、朝、昼、晩と、1冊読み終わるたびに休みを少しずつ入れながら、次の本を読みました。

たとえていうと、映画館で1日に映画を3本「読む」という感じです。それで、家に溜まっていた本が、バーッと全部、消化できてしまって、とても驚きました。
また、フォトリーディングは読む時間が短いので、思想的に悪い影響を受けなくてすむという長所もあります。顯進ニムがUTSの学生であられた時に、外部の思想に影響を受けてしまうことを「オーバーコンテクスト」といわれたそうです。本来、み言葉によって外部の思想を消化しなければならないのに、逆になってしまうということです。
その点、フォトリーディングは、要点だけを短時間で理解できるので、食口にとっては、オーバーコンテクストになりにくい有効な読書法だといえます。ちなみに、本部教会では、希望者が集えばフォトリーディングの方法を私が教えています。

食口はお金に関する考え方を変えよう!

その他にお勧めの本としては、前出の神田昌典の『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』(ダイヤモンド社)があります。特に、これから起業しようと思っている方や中小企業を経営している方が読むと、商材の選び方や市場への参入機会など、とても参考になることが多いと思います。私が現在、経営している会社を起業する際にも、かなり参考にしました。
米国時代から思っていたことなのですが、食口はお金に対する考え方を、もう少し変えたほうがよいのではないかと思うのです。

私が「経営工学」を学んでいた時の指導教授が、もともとロケット工学の博士号を持つエンジニアなのですが、「人の下で働きたくないので、技術を使って起業したかった」という人なのです。実際、何度も起業して失敗しているのですが、その経験を元にして、「エンジニアが会社を起こす方法」について教えてくれるのです。
「経営工学」ですから、「こうしたらお金が儲かる」という話ばかりで、最初は、「金、金って、金儲けのためにやってるんじゃないんだ!」といいたかったのですが、だんだん私自身も、「労働時間でなく、価値を創造することによって報酬を多く得る」という価値観に変化してきたのです。
実際、食口には社会で雇用されている立場の人がかなり多いのですが、私は経営者の側に立ってよい会社をつくり、食口たちが満足して仕事をしながら、お金を与えることができれば、と思ったのです。結果的に、現在手がけているビジネスにおいては、食口である職場の人たちが希望する額を与えることができています。

優良企業にはカリスマが存在しない

リーダーシップに関する本としては、亨進世界会長が本部教会赴任後に礼拝で紹介された『Good to
Great』(日本題:ビジョナリーカンパニー2・飛躍の法則/ジェームズ・C・コリンズ/日経BP社)と、4~5年前の世界指導者会議で引用された『Built to Last』(日本語題:ビジョナリーカンパニー/日経BP社)の2冊があります。
一昨年末、ちょうど礼拝で『Good to Great』について語られる前に、くじ引きで亨進ニムの家庭訪問が当たったのですガ、その時に亨進ニムが、「『Good to Great』という本を知っていますか?」と尋ねられたのです。実は、この本は、私が今まで最もすごいと思っていた本でした。それで、「私が一番、好きな本です」と答えたのですが、亨進ニムがその本のことを語られたのでとても嬉しかったのと同時に、霊界の導きを感じました。

もう一冊の『Built to Last』のほうは、コリンズが『Good to Great』の6年前に書いた本で、「カリスマ」と「システム」についての話なのですが、すごいと思ったのは、優良な企業、つぶれない企業には、「カリスマが存在しない」というのです。カリスマがいる企業は、カリスマが死ぬと企業も死んでしまうからです。

「時を告げる人が『カリスマ』なら、時を告げる時計をつくるのが『システム』だ」ということです。時を告げる人がいなくなると、誰も時を感知しなくなります。だから、企業にそういう存在がいなくなると、何もできなくなってしまうのです。
時を告げる時計とは、社員全体が何をやるべきかを感知できる「文化」のことをいいます。それが結局、「オーナーシップ(主人意識)」を持つことであり、「個人やチームで考えて行動する」ということなのです。このような文化には、カリスマはいらないというわけです。この本は、すごく衝撃的でした。

超優秀企業のリーダーにみられる共通性

その上で、『Good to Great』のほうは、「組織内にどうやってシステムをつくるのか?」を解明した本で、「超優秀企業」11社と、その次のレベル、「優秀企業」を調査し、統計をとったのです。超優秀企業というのは、15年連続で売り上げが伸び続けた企業です。
ふつうはブームというのがあって、売り上げが伸びるのも、せいぜい10年が限度なのです。それが15年以上伸び続けるというのは、単なるブームだけでなく、何か企業に普遍的な原因があるからだといわれているのです。
その超優秀企業に、コリンズを中心とした研究チームが、徹底的にインタビューをしたんですね。その時、意識したのは、「どんな本にも『リーダーが重要だ』ということは書いてあるので、『リーダー』という結論に行き着かないようにしよう」ということでした。だから、「『リーダー』という結論を既成概念に入れないでインタビューしてほしい」といってインタビューしたのですが、最終的に行き着いたのは、「リーダーの共通性」だったのです。

それが何かというと、「第5水準のリーダーシップ」です。コリンズはこれを、「個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、永続する偉大な組織をつくり上げる」と表現しています。
それについて、亨進世界会長がその時、「窓と鏡」の話をされました。「成功した時には窓を、失敗した時には鏡を見る」これが優秀なリーダーだというのです。これは、「成功した時は窓の外にいる社員をほめたたえ、失敗したら自分のことを振り返る」という意味です。リーダーには謙虚さが必要ということですね。
超優秀企業のリーダーは、まさしくこのようだったのですが、優秀企業のリーダーたちはそれとは反対でした。成功したら自分をほめたたえ、失敗したら社員たちを叱るのです。


もう一つ、数ヵ月前に礼拝で話されたのは、『ビジョナリー2』の内容で、優秀な組織の運営は「まずビジョンありき」ではなく、「誰をバスに乗せるかを決める」というのです。核になるリーダーたちがバスの中で互いに話し合いながら、方向性やビジョンなどを決めていくのです。
その後、各部門のリーダーが自分の部門のリーダー級だけ集めて対話し、討論して、方向性を決めていきます。核となるリーダーたちの文化がそうなっているので、それがどんどん組織内に文化として浸透していくのです。
これは昔、顯進ニムのユナイテッド・ビジョングループの人的資源担当の人が、ワールドカープの指導者教育で講義した時も同じような話をしていました。
亨進ニムは、今、本部教会でそれをなさろうとしているという気がします。偉大な組織をつくる時の、一番初めの中核の部分をつくろうとされているということです。

コリンズは、この法則は、NGOや宗教団体にも該当するといっています。企業だと、価値観が合わないリーダーをリストラできますが、宗教団体やNGOの場合はしにくいので、初めが重要だというのです。
この「ビジョナリー」の2冊が、私が「これ以上の本はない」と思うぐらい、すごいと思っている本です。米国や韓国ではベストセラーですが、日本では、本質を見抜いていないのか、あまり売れないですね。(月刊『本郷人』より)
*注:食口(統一教の信仰を持ち、統一教会に通っている信徒のこと)

 

 

Posted by on 2011年12月24日. Filed under コラム. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response or trackback to this entry

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